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大人の教養3のレビューその3

 この記事では大人の教養3の第三章ーデータ経済とDXーについてレビューしていこうと思います。皆さんの中にはDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。これはウメヲ大学教授であるエリック・ストルターマン氏が提唱したっ言葉で、「デジタル技術が、生活のあらゆる面に作用し影響を与える変化」と定義しています。

 日本でこの言葉が有名になったのは経済産業省が「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」を発表してからでしょう。このレポートでは

①既存のシステムのブラックボックス化が解消できず、データが活用できないため市場の変化に迅速に対応できないので、デジタル競争の敗者になる。

②システムの維持管理費が高騰しIT予算の9割以上になる。

③保守運用の担い手不足で、サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータ滅失等のリスクの高まり。

 これらの課題を克服できない場合DXが実現できないだけでなく、2025年以降最大で12兆円/年の経済損失が出る可能性があるとしています。これを2025年の崖と表現しています。かなりショッキングな内容ですね。

 前置きはこれくらいにして本書の内容について見ていきたいと思います。

 21世紀はデータの世紀といわれています。今やどれだけデータを獲得し、どのように活用するかがビジネスで成功する大きな要因になっています。今までは大量生産・大量消費が普通でした。しかしGAFAなどのプラットフォーマーは逆の論理で動いてます。    

 アマゾンを例にとります。アマゾンのトップページにはおすすめの商品が映し出されます。これはユーザの購入履歴を調べ、それとよく似た人の購入履歴から商品をレコメンドしています。つまり、アマゾンのユーザが多いほど正確なレコメンドができるようになります。これをネットワーク効果といいます。

 海外と比べても日本はDX 後進国であることは否定できないそうです。それがはっきり表れたのは特別定額給付金のオンライン申請です。自治体はオンライン申請を一度紙にして、住民基本台帳と突き合わせるという膨大な手間が生じました。作業が間に合わずオンライン申請を中止する自治体が出てくる始末です。

 他にも行政のデジタル化がもっと進んでいればという場面はほかにもありました。新型コロナウイルスが流行り始めたときは、感染者の集計にはファクスが使われていました。政府は2020年5月に新規感染者の発生届をオンラインで集計するシステムを作りました。しかし、運用を開始して半年してもなかなか広まらない。

 ここでデジタル化の進行に伴うデータの取り扱いに関する問題について見てみましょう。2016年に大統領選挙で起きたケンブリッジ・アナリティカ事件を見ていきましょう。ケンブリッジ・アナリティカは政治コンサルタントや選挙マーケティングをしている会社です。同社は、フェイスブックの利用者の個人情報を入手して選挙マーケティングに利用したことが2018年に発覚しました。入手した個人データは8700万人にも及びます。その膨大のデータを使って、有権者の特性に合わせて広告を出してトランプ氏に投票するように誘導しました。

 データを好き勝手使われることは問題です。EUは2018年5月からGDPRを制定しプラットフォーマーによるデータの乱用に歯止めをかけようとしています。しかし、データを制限すればデジタル化は進みません。データを簡単に集められるようにすると個人のデータの保護がおろそかになってします。この二律背反を乗り越えるためには国や企業、人々との信頼関係が重要です。説明責任をしっかりすることが必要になります。

 本書では四騎士が創り変えた世界を取り上げています。同書ではGAFAのようなプラットフォーマーが拡大すると、世界が圧倒的金持ちと多くの農奴に分かれ、中間層がいなくなることが指摘されています。これまでは多くの中間層がいたおかげで消費活動が活発になっっていました。しかし、GAFAが拡大するにつれ、中間層がいなくなるとGAFAでさえ稼げなくなります。

 極端な格差が開いたとき資本主義は持続することができるのか。GAFAがけん引するデジタル社会を我々は慎重に見極めていく必要がありそうです。

 ここからは僕がこの章を読んだ感想を書いていきたいと思います。僕は経済学部出身でDXについて調べたことがありました。のであらかじめ知識があったので読みやすかったです。でも予備知識がない人でも掘り下げて解説しているので読みやすいと思います。