mihai’s blog

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「大人の教養3」のレビューその2

 前回のブログで本書のレビューを完結させようと思ったのですが思いのほか長くなってしまったので、6分割することにしました。今回は2弾目です。第2章ウイルスと現代社会ー人類は感染症を克服できるのか

 新型コロナウイルスは私たちの生活を大きく変えました。会社では在宅勤務やリモート会議が珍しくなくなりました。また、大学では講義がリモートで開催されるようになりました。

 でも感染症が人類の生活を変えた事例は他にもあります。例えばペスト。14世紀にペストが流行しヨーロッパの人口が3分の1に、世界中で1億人が亡くなったといいます。14世紀のヨーロッパではカトリック教会が大きな力を持ってました。しかし、ペストにより神父が次々に倒れていく、神父がいくら祈っても一向に収まらない。このことがカトリック教会の権威を失墜させました。それにより生を謳歌しようという機運が高まりルネサンスの準備をしました。また16世紀から始まる宗教改革の素地を作りました。

 スペイン風邪も歴史を大きく変えました。第1次世界大戦中アメリカは兵隊を戦線であるフランスに送ろうと考えていました。この時送った兵の中にスペイン風邪に感染したものがいてヨーロッパ中に広がりました。戦争中に自国の兵士が風邪で倒れていることが敵国に知られたら敵国に攻め込まれてしまう。なのでどの国も極秘にしました。しかし、スペインだけは中立国だったので病が流行っていることを公表しました。これによりスペイン風邪という名前が付きました。

 ウイルスについて解説していきます。数十ナノメートルから数ナノメートルくらいで非常に小さく普通の光学顕微鏡では見ることができません。ナノメートルはミリメートルの100万分の一です。ウイルスは細胞に入り込んで自分のコピーを作ります。入り込まれた細胞は死滅します。新型コロナウイルスは肺の細胞に入り増殖して細胞を死滅させるため肺炎になるわけです。

 人間には簡単に病気にはならないように抗体である免疫細胞があります。免疫細胞はウイルスを見つけると退治してくれます。抗体を人工的に作るのがワクチンです。ワクチンは通常安全性や有効性を試す臨床実験に長い時間がかかります。病原体をそのまま体内に入れると病気になってしまうので病原体を弱らせたり感染する能力を失わせたものを体内に入れる。これがワクチンを接種するということです。

 今出回っている新型コロナウイルスのワクチンは従来の方法とは異なったやり方で作られています。このワクチンは人間の細胞に入るのに必要な遺伝子だけで作られています。体内に入ってもウイルスそのものと違って悪さするわけではありません。このワクチンはmRNAワクチンと呼ばれています。

 新型コロナウイルスは民主的な社会でどのように感染症を封じ込めるのかという課題を突き付けました。台湾の事例が参考になるかもしれません。台湾ではスマートフォンを配り農耕接触者の行動を監視するという措置をとっています。この措置に国民から大きな反対がなかったのは政府に対する信頼があったからです。対策本部の陳時中氏は毎日記者会見を開き、不眠不休で対応に当たったことから鉄人大臣として国民から絶大な信頼を得ました。

 近い将来新たな感染症が襲ってきてもおかしくありません。過去の感染症や今回の経験から学び未来に生かせるかが重要になります。

 この章を読んだ感想ですがスケールが多すぎてあまり具体的なことは思いつかなかったです。過去から未来を見る視点は重要だと思いました。